「手をかざすだけで癒やしの力が
伝わる」という話には、
懐疑と興味が混ざります。
その代表格が「レイキ」と呼ばれる
日本発祥のエネルギーヒーリングです。
一般にはスピリチュアルな療法と
見なされがちですが、
その仕組みには人間の心理や生体反応と
密接な関係があります。
レイキとは、宇宙や自然に遍在するとされる
「生命エネルギー」を、施術者の手を通じて
受け手に流すことで、心身のバランスを
整える技法です。
特別な道具は使わず、手のひらから
エネルギーを伝えるという
シンプルさが特徴です。
エネルギーというと非科学的に
聞こえるかもしれませんが、
人間の体も実際には電気信号で動いており、
脳波や心電図の測定もすべて
エネルギーの可視化に基づいています。
つまり「見えないから存在しない」
という理屈は、この領域では通用しません。
レイキの効果は、主に受け手の
「自己治癒力の活性化」
にあります。
安心した環境、信頼できる施術者、
そして一定の時間。
これらの条件が揃うことで、
副交感神経が優位となり、
体が自然な回復モードに
切り替わります。
また、人間は「触れられる」ことによって
オキシトシンというホルモンが分泌され、
不安が軽減される傾向があります。
レイキの際に直接的な接触がなくとも、
他者の意識が集中して向けられている状態は、
心理的な癒しを生み出す条件を
満たしています。
歴史的に見ても、宗教や医術の境界線は
明確ではなく、精神と身体を一体として
捉える視点はむしろ古典的です。
近代医学が分業化と細分化を進めた結果、
「全体を癒す」という発想が
見失われる傾向がありました。
その点、レイキを含むヒーリングの思想は、
再び「つながり」や「自然な力」に
価値を置く時代背景と呼応しています。
行動としては非常にシンプルで、
誰にでも再現可能な手法である
という点も重要です。
特別な才能や資質ではなく、
「意図」と「集中」によって
成立するのがレイキの本質です。
また、自己実践も可能であり、
日々のストレス軽減や
集中力の回復にも効果があると
されています。
わずか数分間のセルフレイキが、
その日の判断や行動を
変えることもあります。
「もっと上がある」という感覚は、
自分の内側にも外側にも
広がっています。
レイキのような行為は、
見えない世界への好奇心だけでなく、
見えている現実への集中力をも
高めるものと考えます。
